大きく故障予防、パフォーマンス向上の2の観点で行うコンディショニングトレーニング。
ランニングフォーム改善について質問を受けることもありますが、私の活動の中ではフォームの改善を目的にトレーニングを行うことはありません。
しかし全くランニングフォームに関与しないかというとわけでもないです。
その人の走る様子を見ても分かるのを見かけの部分であり、体内でどのような力の働きが起きているか仕組みの部分までは分かりません。
選手の動きの確認、フォームの傾向を認識しておくことはコンディショニングを行う際には役に立つ指標の一つです。
例えば右の腕ふりが横振りの傾向がある、左のつま先が外を向く(膝とつま先が同じ方向を向いておらず膝に捻れが出ている状態)、上体が右側に傾く、など個人特有の癖というものがあります。歩幅(ストライド)が広い狭い、脚の回転(ピッチ)速い遅い、などもそのうちの一つです。最近では足の接地が前方か後方か(つま先よりか踵よりか)などを気にする人も珍しくありません。
見た目が悪く(ここは個人の好き嫌いの関与が大きい)フォームを改善したい、改善しないといけないと考える人が少なからずいると思います。
見かけを変えることを目的にはしませんが、仕組みを知るために見かけを材料の一つとして考えます。
コンディショニングの場ではうまく働いていない部位、過剰に働きすぎる部位などの理解に努め、必要と判断した時に筋力強化、バランス修正などの仕組みの改善に取り組みます。
結果として見かけに影響を与えることもあります。
またコンディショニングの場での仕組みの変化と実際のランニングで変化を感じるには差があるので、走ってる時の感覚、疲れ具合、また強度の強い練習を行った翌日の身体のダメージなどランナー本人の主観と照らし合わせながらやっていきます。
例えば臀部への力の入れ方がゆっくりの動きで分かっても、ランニングなどの速い動きに直ぐに直結するわけではありません。仕組みの改善のスタートではありますが、全てではないです。
シンスプリント(脛の内側の痛み)、腸脛靭帯炎(膝の外側の痛み)、アキレス腱炎(アキレス腱、またその周囲の痛み)などランナーに多く見られる怪我があります。
足首が硬い、膝が内側に倒れ込む、身体のバランスが悪い、体幹が弱いなど、一つの要因と怪我の原因として結びつけて考えてしまうこともありますが、人間の体は複雑で典型的なパターンで故障を起こす人もいれば、良くないと言われる傾向があるのに全く故障をしない人もいます。
月に1000km近く走る実業団の選手間でもこの傾向はあります。
ただ故障が多い人にも、少ない人にも共通して取り組むことは、(可動性)全身の関節を大きく動かす、(安定性)動く関節の範囲を自身でコントロールできるようにする、(バランス)片足で重心をブラさずに各関節を動かせるようにする、(筋力強化)走る時にメインとして働く筋肉群、関節運動を強化する、ことです。
個人の身体の仕組み(使い方から骨格まで)を基準にこれら4つの基礎的な考えを当てはめながらトレーニングは進めていきます。
個人の具体的な傾向が分からない以上は具体的なトレーニング案を組むことはできません。
なのでこの怪我にはどんなストレッチ、筋トレが必要かというのも答えるのは難しく、基準は故障の種類ではなく、個人の身体の仕組みで考える必要があると思います。
こちらでも書きましたが、効率的なフォームに関してはフォーム練習よりも練習量、練習の幅(色んなペース、距離、路面を走る)、練習期間が大切です。
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