足が速い、遅いについては小さい頃の遊び、体育の授業、体力テストによって自ずと気づいていくものです。
短距離走の特別な練習をしていなくても足が速い子がいて、陸上部に入って練習をしても負けてしまう経験は多くありました。
才能や遺伝など足の速さについては色んな説明がありますが、ここでは少し違う観点から足の速さ、スピードについてお話しします。
足の速さは限られた時間の中で高い力を地面に加えることができるかによって決まります。シンプルに言うなら、短い接地時間でより高い力を地面に加えることができる人が速く走れます。
大まかに2つの要素に分けることができます。
持っている力の強さと正確に力を地面に加えることができる技術
あくまで私の経験上や他から聞いた話によるものですが、男性よりも女性間での足の速さの差が大きいように思えます。例えるなら、ある学校のクラスで足が一番速い男子生徒と一番遅い男子生徒の差よりも一番速い女子生徒と一番遅い女子生徒の差が大きい感じです。
元女子サッカー選手にこのような話をした時に「まさにそうです」という返答がありました。同じプロサッカーチーム内でもスピードのある選手とそうでない選手の差は男子以上に大きく感じるという意見でした。
現在指導する女子中学生の1人にも短距離走が得意でない子がいます。
走りを見るとスピードがないというよりは、本来持っている力をうまく引き出せていないように感じました。
「なんか本気で走っているように見えない」と言うのが率直な感想です。
足が遅い、スピードがないと言うよりは、正しく地面に力を加える技術不足の要因が大きいように思えます。
例えるなら本来持っている力の50-60%しか発揮できていないような感じです。
大元の力を引き上げるには時間がかかりますが、力を70%発揮できるようにするにはきっかけをつかむだけで変わります。
春に走った4×400mの際には76秒台でした。
最大スピードを高める練習というよりは、毎回の練習にスプリントドリルなどを取り入れて今持っている力を上手に発揮できるように取り組みました。
3ヶ月後くらいに走った1500mでは1周目を77秒で通過。もちろんそのペースで走れる体力レベルではなかったので失速はしましたが、1周目を全力で走ったわけではありません。力の発揮の仕方、上手に地面に力を加えれるようになるだけでもスピードに余裕が出てきているのが分かります。
スピードを出すことに慣れていない市民ランナーの方々も、いざ速く走ろうとすると急に歩幅を広げすぎようとしたり、ちょこちょこ走りで足がつっかえてしまうようになったりと空回りした感じも見受けられます。
マーカーやラインを用いて歩幅の目安を作るだけでも走りの変化を感じます。
短距離を早くすることが目的というよりは、力を上手に発揮できる技術を磨くことで長距離走のスピードトレーニングの際によりリラックスして走れるように繋げます。
短距離走が苦手でも、速く走れる必要性を感じない人でも、自分の持っている力を上手に発揮できるようになる感覚は案外面白いものです。
今よりも力を高めて速くなると無理に意気込まず、もう少し上手に力を発揮できればいいなくらいの気持ちで取り組んでもいいと思います。
木曜のトラック練習では本練習前にドリルの時間を多めに取っています。ドリルだけの参加目的も可能です。
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