ランニングのメニューを考えるとき なぜ、何を、どのようにやるか

ふとした会話からランニング指導をやっていることを伝えると、「〇〇のためには何をやったらいいですか?」と聞かれることがありました。

その場をやり過ごすために〇〇の練習がいいと伝えることもできましたが、具体的な答えを出すことはできませんでした。

SNSや雑誌、インターネット上で「どんな練習がいいのか、その理由はなぜか」、このような情報を見ることがあります。

確かに練習の目的をはっきりさせて取り組むことは大切です。

ただトレーニングを行う上での大切な点はなぜ、何をやるのかを理解していればいいというわけではありません。

なぜ、何をやるのかにばかり焦点が当てられがちですが、それを行う人がどんな状況を理解することがトレーニングを組む上で一番大切だと思います。

練習を行う人が現在どんな状況で、目標は何か、そのギャップを理解した上でどんな負荷が適切なのかを考えます。現在のまず取り組める課題の解決が「なぜ」になり、その手段として「なにをやる」練習メニューを考案します。

メニューと目的を伝えれば相手がその通りに実行できるわけではありません。指導の一番大事な部分は目的の負荷をかけるために、メニューをどのように実行すべきか、を学んでもらうことにあります。

「スピード強化のために今日は400m×10本の練習をやる」

このように伝えることは簡単です。
ただこの練習を行う人にとっての適切なスピードとは?そのスピードを10本維持するために適切な休憩は?また1本ごとをどのように走れば目的のスピード強化に繋がるのかを理解してもらうことが大切かつ、一番難しいところだと思います。

例えば400mを90秒で走ったとしても最初の100mを20秒で走り、最後の100mを25秒までペースが落ちている場合と22-23秒の同じペースで走った場合ではゴールタイムが同じでも負荷は同じではありません。

その日の目的に見合った練習のやり方、「どのように走るのか」を身体で覚えてもらうことが大切です。ペースメーカーの後ろについて走ってもらい負荷をかけることもできますが、「いい負荷をかけれた」と「どのように走るを学んだ」は違います。本数をこなすこと、とにかくタイム内で走り切ることを重視しすぎると適切な負荷のためにどのように走るかがおろそかになってしまいます。
設定タイムを使うかどうかも、その時の目的、また個人の課題において異なります。設定タイムを設けることでタイムに縛られすぎる人もいれば、ないことで力の指標を見失う人もいます。


これはコンディショニングでストレッチや筋トレを教えるときも同じです。現在の身体の問題点を理解して「なぜ」、その解決方法として「何をやる」を考えます。

問題点を見る力が指導の上では大切で、そこからストレッチでも筋トレでも動作をどのように実行するかを身体で理解してもらうことはよりエネルギーを使います。

このような点から相手の現状を知らないことには「どんな練習、ストレッチがいい」は分かりません。指導の大切な点はどんなメニューを知っているかではなく、どのように実行するかを学んでもらうところにあると思っています。

パーソナル指導、練習会でも基本は個人の現状に合わせてメニューを提案し、どのように走るのかを伝え、学んでもらうことを優先しています。

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