Without haste, yet without rest
引用元:3-2-1: How results accumulate, the secret to motivation, and living with a calm persistence
このような文を見かけました。直訳すると「急がず、だけども休むことなく」というような感じでしょうか。
詩人ゲーテが、星が一定のペースで、早まることなく、常に回り続けていることを例えに用いたようです。
ランニングの指導をしていて、「どのくらいの頻度で目標の大会に向けて練習をすればいいのか」と言うのは初回のセッションよく聞かれる質問の一つです。すでにランの習慣がある人はそのままの頻度で内容をアレンジしたり、大丈夫と思った段階で引き上げたりの提案はしますが、これからという人には「まずは継続できるペースを見つけるために週1-2回、スケジュールに合わせてやりやすい日に走ってください」と伝えます。
この時に「2週間に1回、または10日1回じゃダメですか?」などと言われるよりは「週3、4回走れたら走ってもいいですか?」と返答があることの方が多いように感じます。時には「毎日できます」と言う人も。
目標を決めてスタートを切った時は気持ちもフレッシュでやる気があるのは分かりますが、これまでランニングの習慣がなかった人が急に週3,4回走り出すと長く続かないケースが多いです。
毎日できます、週3,4回と言った割には結局「今週は一回も走ってない」となることも。
まさに気持ちが急いだ結果、身体がストップしてしまったように、上記の引用文とは逆のことになってしまいます。
現在の体力を向上させる上で必要な練習量、頻度をシンプルに考えるなら、現在の体力を作ったこれまでの運動習慣がどんなものかによって決まります。
例えば数年間運動習慣がなかった人なら週1の運動でも体力は向上します。無理に週3,4回やろうとして続かないより、週1回を数ヶ月、半年、一年とやる方がはるかに効果的です。
週3日の5kmのランニング習慣がある人なら週4日にするのか、3日は変えないまま1回の距離を6,7kmにするのか、または3回のうち1回は少し速く走ってみるのか、などです。
指導の依頼ではないのですが、ランニングの指導をやっていると話すと「マラソン走れるようにはどのくらい練習した方がいいですか、どんな練習がいいですか」と聞かれることもあります。
「今から最短で1000km走ってください。1000km走り終えた時には色んなことがわかると思います」と伝えたことがあります。
これを急いでやり切ろうと、ランの習慣がなかった人が急に毎日走り出せば足の痛みが出るか、気持ちが燃え尽きるか、ストップする可能性が高いです。
1ヶ月50kmなら20ヶ月、100kmでも10ヶ月とそれなりに時間はかかります。ただ1000kmまで到達する頃には続けやすい習慣、続ければ体力は上がること、疲労感や身体の痛みで無理をするとはどんなことなのか、などある程度のことが分かると思います。
ちなみに1000kmに特別な意味はなく、なんとなくすごい距離だなと分かりやすいの使っただけです。
そのように伝えて本当に1000km走りました、との報告があることはなく実際にどうなったのかは分かりませんが。(過去に1名だけ本当に走りましたと連絡があり、その方は7年くらい走り続けられてます)
さて最初の引用文を私なりに解釈してみると、yet without rest(けれども休むことなく)と言うのは、休息を取るなと言うことではなく、上達や健康維持において習慣のリズムを途切れさせるほどの間を空けるなと言うことだと思います。
週3日で走ってる人の場合だと、走っていない4日のことではなく、急いで結果を出そうと週5日走り出して、心身の疲労や怪我により数ヶ月走らなくなってしまうような事態を避けることです。
週1日の人なら次の週もちゃんと週1回走ること。今週は2回走ったから来週は走らない、にならないことです。
ここまで言いましたが、私自身この失敗を何度も繰り返してきました。
長距離走をやってきて何度も「我慢が大事」と言われてきました。ただ「苦しさに耐える」我慢に意識が向きすぎて、急ぎたい、速く走りたい衝動を抑えるのも我慢だと言うことはすっかり忘れがちになってしまいます。
ここまで書いてみるとランニングをやっている人なら、上記の引用文よりもこっちの方がしっくりくるかもしれません。
ペース配分は大事

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