「あんまり好きじゃなかった」
初めての800mのレースを終えて出てきた一言です。
これだけを聞くと、いい経験ではなかったのかなと感じます。
何も知らない他人にレース後の感想だけを聞いてこのように言われると、やりたくない種目に出場させられたのかな、なんて想像してしまいます。
ただ言葉の持つ意味は、それまでの経緯を知るとまた変わるものです。
「あの子が800mに出るって言うだけでもう大きな進歩なんです」と私の隣で観戦するお母さんが教えてくれました。
「去年の大会で、400mを走り終わった後に号泣してたんです。負けて悔しいのかと思ったら、きつすぎて2度と走りたくないと泣いてたんです」
1年経って、今では400mをメインにしたいと思ってるようです。トラックシーズンが始まる前までは800mに出るつもりはなさそうでした。
彼女に私がしたことはあくまでも提案だけです。それが彼女の決断に影響したかは分かりません。「800mが走れるようになると、400mの後半にいい影響が出るよ。メインのためのサブを持ってみたら」
そんなことです。果たして彼女が覚えているかすら怪しいです。
何か一つの経験による劇的な変化ではなく、日々の練習などを通して800mの捉え方が少しずつ変わったのかな。
大会の提案をして、あっさり「出る」と言ったときは、こちらも「おっ」と思いますね。
最後の100mは渾身のラストスパート。「おいおい、そんなの練習で見たことないぞ」と思いながらも、楽しく観戦させてもらいました。
正直、レース後に「もう2度と走りたくない」と言うのではと覚悟してました。今回、挑戦しただけでも十分。そんな風に思おうとしてました。
そんな経緯があるだけに「あんまり好きじゃなかった」は良い意味でびっくりなんです。
別に大好きに変わってほしいと思うわけではないんです。同じ物事を違うように見れるようになる。そこに成長や学びがあると思います。
その一つの変化がレース後の一言に表れていました。
さて今後また挑戦するかどうかは様子見です。
他人でも、ご自身の経験でも、何かを終えた後に出てくる言葉の変化を感じたのはいつでしょうか?
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